・谷崎の細雪と言えば。グルメ小説、当時の中流家庭を知る材料、等読み方は多いそうですが
鉄道小説だよなと
鉄メインで書かない分、鉄の需要のされ方がお洒落と言うか、疎開で悲惨な鉄道の利用が多かった・・・というくだりがなく、在りし日の国鉄の写生みたいなところもあります。
出て来る鉄
・南海電鉄 生活感たっぷり ・阪急 まさしく蘆屋、「蘆屋の姉さん」の居住地 ・国鉄 つばめ・かもめ等普通に乗る階級の女達 ・銀座線 渋谷に本家があるのでよく出て来る ・御殿場線 優雅そのものの夫婦旅 ・東武日光線 お春の日光日帰り旅
まだあったと思います。
昭和7年に明智平〜馬返のケーブルカーが出来たそうです。鶴子が女中さんに「日光に行かせてあげるから」となだめていたそうですが、東武さんの作戦があったんだなと思います。
中禅寺湖など、「外国人向けの高級避暑地」から、お春の様な「女中さん二人組」が気軽に楽しめるスポットになったんだなあとも。(お春は華厳の滝まで行ったらしい。)
・谷崎の細雪を読んでいます。御牧さんが出てからが展開速いので、ああ終わるんだなと思います。
本当に、重子さんの婚姻相手が御牧さんみたいな華族だとかで、細雪のフィクションじゃない部分が面白いなと思います。
ところで雪子、というか重子さん。御牧さん≒明さんとの結婚後、あんまり長く一緒にいられなかったようです。明さんの仕事が北海道だったから、もありますが、谷崎の「包囲網」から抜け出せなかったのではと思います。
うま味が多いと言うか、松子さんも谷崎の死後、あれこれ書いているしなあと
・・・が、最晩年の谷崎の関心は、「若い女」にあって、松子さん・重子さんは大分後方に下がったらしいです。身近な「若い女」を愛しまくる谷崎と、重子さん達が上手くいくはずはなく
さりとて、谷崎の作家としての「うま味」は死ぬまで濃かったし。女性達がどうして谷崎に愛想をつかさなかったのかと思いますが、谷崎、筆一本で女性達と「理想郷」を作れたのだから、とんでもない男だったんだろうと思います
谷崎の秘書だった女性の著作を読んだことがあります。谷崎、「若い女」は大好きだったらしいですが、「谷崎の秘書、口述の仕事等がどれくらい大変で高度なのか」分かっていなかったらしく、可愛い女の子を身辺においては、仕事にならなくて追い出す、の繰り返しだったそうです |
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