・細雪はフィクションですが。
幸子の流産の場面とか、雪子最後の見合いの内容などは、ほとんど事実だそうです。
事実とかぶらないのは、松子=幸子であるのに、根津=貞之助ではないことでしょう。貞之助に該当する、事実上の人物は「いない」と言えそうです。
谷崎が、貞之助と同じ考え方であるとは思えないし。貞之助は一応税理士だけど、谷崎は作家だし。
そもそも恵美子=悦子かもしれませんが、恵美子の実の父は根津だそうです。つまり、物語の根幹の「幸子の家」は多分ゴッソリ架空なんじゃないかなと思います。
キャラクターは重子、信子と豊富に実在の人物から取られていますが、肝心な部分が違うよなあと。根津と松子の子供は二人いて、男の子と女の子の一人ずつです。
女の子の方はご存じ、悦子のモデルだった恵美子で、谷崎の養女になっています。
男の子の方は、重子=雪子と「御牧」の養子になっています。なんで兄弟とも谷崎の養子にしないんだろうと思いました。
そして、重子と「御牧」の重すぎる結婚生活の場が語られた文章に、その男の子はあまり出て来ません。・・・?
むしろ、「妻の実子で、義妹の養子になった「甥」の若い妻」として、千萬子が有名です。
そして千萬子の娘、たをりも谷崎に愛されたとして有名です。
こう書くと分かった気がしますが、松子・重子は松子・重子で、谷崎との愛の日々を「出版」し。千萬子は千萬子で、谷崎との愛の日々を「出版」しています。
谷崎が自分で言う程、真面目でも一途でもないのは分かっていますけれども。女性達が谷崎から離れて行かないのが、不思議でなりません。
二番目の妻丁未子も、谷崎が松子に夢中になったのを知り、「一回入籍」してから、離婚したそうです。現在の感覚なら、谷崎捨てろよと思いますが、筆一本でのし上がった男には、やはり何かあったのかもしれません。
取りあえず、谷崎が奥畑=根津を楽しそうに書いているのがなんか面白く読めました。(妙子=信子と、根津の「駆け落ち」は事実だそう。あり得ないだと思うが、あった・・・そう。妻の妹とって?) |
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