 ・病気と言えば漱石ですが
漱石の場合、「うつがある意味自慢」とも言えた時代、神経衰弱が高等とされた時代だったとも言えるそうです。
行人の一郎の「病気」で苦しむ姿がフェイクとか、お芝居だとかは思いませんが、ある意味では「望まれた」姿だったかもしれません。
ただし、そんな嵐、ストームの様な男と暮らす家族はたまったもんじゃなく。嫌そうにしている妻と子の姿も、割と漱石は書くなと思います。
門とか、「妻の元夫が近所まで来ている」恐怖は分かるんですが、だからって妻に話さず大家にも言わず、自分だけお寺にこもってどうなるものでもないでしょう。
じゃあ「自分は親友の妻を寝取った男です でも皆さんヨロシク☆元夫はなーんかヒドイ暮らししていますが、僕の不倫とは関係ないしィ」と言って歩けばいいのかと言えばそうでもない気も。
(不倫のため、大学中退、親に勘当され、当時の友達や兄弟親戚他から冷たい扱いを受け、いい仕事には望めず、「子供に恵まれない」話でもある。その上、やっと逃げてきたような借家暮らしで、また最初から「不倫のため」の「苦難」を蒸し返すのかと思うとまあ。
ちなみに大家は、宗助が「帝国大学在籍」した事は知らない)
・病気と言えば谷崎ですが
いざ自分がコロナになって、コレが文芸に昇華できるかと思うと全然無理だと思いました。
谷崎が1886年生なので、有名なスペイン風邪も見ているでしょう。全然、病気なんて昇華出来るもんじゃないと思いますが、この人はバリバリ作品にしているんだよなあと不思議。
(荷風は独身で単身世帯、血縁とも不仲でケチ、女性には持てなくもないが一定の関係を結ぶのがヘタなので、体調が悪いとそのまんま「書けなくなる」。日乗で体調悪い時の日は、逆に短くて壮絶) |
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